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異世界で言葉を習得しながら物語を進めるノベルゲー『ことのはアムリラート』をプレイして

この記事は当該作品の世界観について若干のネタバレを含みます。

サルゥートン!

ダンコン プロ ヴィア インテレーソ エン ミアィ アルチコーロィ

 

一般的な異世界転生モノが 言葉 に対してどーゆースタンスを取っているかは詳しく無いのですが、生まれ変わりとして前世の記憶を保ちながら育ち直すようなケースを除くと、翻訳こんにゃくみたいな不思議力で通じてるようなのが多いんじゃないかと思います。

この『ことのはアムリラート』は、そういった不思議力の助けが無い世界で、迷い込んだ主人公(プレイヤー)が若干のヒントを元にその世界の言語『ユリアーモ』を習得しながら、ヒロインやその世界の人達とのコミュニケーションをはかり物語が進んでいく、という一風変わったノベルゲームです。

 

 

どんなゲームか

実際に紛れ込んだ異世界で最初に声をかけた通行人から返ってくるのがこのセリフ。

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??? ってなると思うんだけど、一通りプレイした後だと この通行人が何言ってるか ある程度分かるのが面白い。

 

ここではカナで表記されているけど、これは主人公が耳にした「音」であって まだ言葉として認識できていないからこの形になっていて、

物語が進んで 少しずつ意味の分かる言葉が出てくると、こんな感じの 正しい現地語『ユリアーモ』での表記と「音」の混った記述になっていきます。

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まぁ断片的に分かるくらいだと 全然何言ってるか分からなかったりするんだけど……

(ここで分かってるのは 私 とか それ とかでしかないからね)

 

ただ完全に手探りってのはゲームとして無理があるので、言葉を学ぶ手助けをしてくれる存在がいます。

それがヒロインのルカ。

 

この世界には主人公より先にこの世界に飛ばされて来た人達の前例が存在するようで、我々の使う『日本語』についての情報が存在しています。

彼女はその日本語をもたらした前例……ではなく、その前例となった人物が残した資料を元に〃日本語を少し勉強した人〃である為、若干の意思疎通が出来ます。

 

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 この若干がミソで、完璧なコミュニケーションとは言えないので、お互いの意が伝わらないシーンが多々あったりして悶々とするのですが、

改めて二周目やってると、ルカの使う異世界の共通語『ユリアーモ』に対して主人公がどんだけ意味と間違えて認識してるかが分かってちょっと面白い。

 

プレイしていく過程でちょっとしたテストみたいなのがあるんだけど、実際にユリアーモを身に付けるほどのレベルまでは不要で、ちょっと単語を覚えるくらいの物が多いです。(ちなみに設定でスキップもできる)

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毎回見た目が変わって 飽きずに楽しめるテストになっていて、拘って造られてるのが分かるので是非、スキップせずに遊んでみて欲しい所。

特に「ĉu ne?」ってルカが聞いてくる所とか超かわいいので、ぜひスキップせずに遊んで欲しい。

 

エンディングの分岐はそれほど多くなく、また分岐もセーブとってれば自力で簡単に見付けだせるくらいのものではあるのですが、それぞれ印象深い結末となっていて大変良かったです。(特に微妙なユリアーモでのセリフの変化など)

 

興味を持った人は是非遊んでみて欲しいんだけど、百合ゲーなので 万人受けするかは分からんトコ。

(自分は身内向けの百合マンガ好きのコミュニティで紹介されたので、圧倒的感謝って感じだったけど)

 

 

ゲームの紹介はここまでなので、言語に興味無い方はここまででいいかも。 

ことのはアムリラート 通常版

ことのはアムリラート 通常版

 

 

 

ユリアーモとは

さて、この世界で使われてる言語『ユリアーモ』とは何なのだろうか。

 

ファンタジー世界において、世界観の中だけに存在する独自の言語を持つ作品というのは少なくなくて、有名所だとトールキン指輪物語や関連作品に出てくるエルフ語、クウェンヤ語、シンダール語なんかや、スタートレッククリンゴン語等がある。

しかし1作品の為に実用可能な言語を1から作り上げるのは困難な為、今作はそのようなアプローチはとっていない。

 

すでに、いくつか記事に上がっているので知ってる人も多いかもしれないが、

このユリアーモは『エスペラント語』という人工言語を元にしている。

 

エスペラント語

自分は小学校か中学校の道徳みたいな授業で1枠だけやった記憶があるので、なんとなく存在は認識していたのだけど、この『エスペラント語』を聞いた事ない人も多いのかもしれない。

 

人工言語と書いた通り、これはどこかの国で国語として使われているものではなく、1880年代にポーランド人の言語学者が協力者と共に造った言語で、世界中で使える共通言語として設計されたものです。(詳しくはWikipediaとか見てくれ)

各国が母国語として利用している所謂民族語というものは、長い時間をかけて発生・変化してきた言葉な為、体系化されたルールに従っていない部分が多く、そーいったものを排除して 学習がしやすい言語として造られたものです。

例えば英語を学んだ事がある人なら、過去分詞や複数形など規則に則った語尾変化するものに、一部 不規則な変化をする単語が混ざっているのを厄介に思った事があると思うのですが、そういった言語習得の上で障害になるような 規則外 の変化を排除して作られたのが エスペラント語です。

 

一部の規則を紹介すると、その単語がどういった言葉に属すか というのは 全て語尾を見れば分かるようになっていて。

 

  • pomo(リンゴ)、pato(フライパン)など、名詞の末尾には全て -o が付く。
  • bona(良い)、longa(長い)、bela(美しい)など、形容詞の末尾には全て -a が付く。
  • kune(一緒に)、独りで(sole)、bele(美しく)など、副詞の末尾には全て -e が付く。
  • kuri(走る)、kanti(歌う)、veni(来る)など、動詞(不定詞)の末尾には全て -i が付く。

 

といった法則性があります。

面白いのが、「長い」は longa ですが、「短い」に相当する個別の単語はなく mallonga という風に「mal」を付ける事で逆の意味になる等、覚える単語が半分になる工夫がされています。

これが徹底していて 右は dekstra ですが、左が maldekstra であって、左は「右の反対」として独立した単語が存在していないくらいだったりします。

  

作中で学べるのは数詞(数字の書き方)、基本的な挨拶、人称代名詞(あなた とか 私とか)。

簡単な単語と、単語の語尾変形による「形容詞、副詞、命令形、名詞、動詞(過去、現在、未来、仮定)」の作り方。

はい/いいえ で答えれる疑問文に、対格(~を、~に)、等位接続詞(~と)、一部の前置詞(~へ、~の前に、~の後に)、一部の接頭詞と、疑問詞(5W+1H)を含む一部の相関詞(こそあど言葉)。

(まだ何かあるような気がするけど忘れた。)

 

言語ルールの全てではないのですが、元々シンプルな規則に則って作られた言語なため、作中に登場するエスペラント語(ユリアーモ)で書かれたセリフも、出てくる単語の意味さえ拾えれば だいたい言わんとする事が分かるようになっていくので楽しいです。

 

ちなみに冒頭にカナ表記で書いたユリアーモ、発音が正しいかちょっと自信無いんだけど(詳しい人がツッコミくれたら直します。)


Saluton!(やぁ!)

Dankon pro via intereso en miaj artikoloj(私の記事に興味をもってくれてありがとう)

みたいな意味になっています。

 

 

ゲームへの ちょっとした不満点

あくまで学習を目的としたソフトウェアではなく、異世界での意思疎通の為の言語習得をプレイヤーに体感させる 為のエスペラント(ユリアーモ)ではあるのですが、

ゲームを実際に通してやって、一部不満に感じる部分があったので残しておきます。

 

プリントが参照できない

作中、お話を進めていくとユリアーモを勉強する為にプリントを貰う事ができるます。

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最初はこういったアルファベット表で、そのうち単語リストだったり、変化についての簡易な表だったり色々あります。

これが、シナリオで一度先に進むと一切参照できなくなります。

てっきり勉強モード(トップメニューから入れる テストや学習の部分のみを遊べるモード)などからなら参照できるものと思ったのですが……

 

上のスクリーンショットにあるように、ほぼローマ字に近いアルファベット表記の為 比較的理解し易いのですが、字上符(^)の付いた文字に関してはパッと出てこなかったりするので、後々参照できる形で残しておいて欲しかったですね。

(できればテスト中以外は常に呼び出せる形であってほしかった)

 

これから初める人は、プリントが出たシーンは全てセーブして残しておくと良いでかもしれません。

セーブスロットは潤沢にありますので。

 

辞典が常時見れない

ある程度シナリオを進めるとユリ日辞典を手にいれる事ができるのですが、

これが勉強モードから立ち上げないと見れません……

 

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まぁ実際、シナリオを読んでいる途中に出てくるセリフで分からない単語を1つ1つ調べるようになってしまうと、それはそれでゲーム的な面白さを損なうので、常に参照できる事が良では無いのですが……

(それはクリアした今だからこそ強く理解できる)

 

クリア後のみでもいいので、これもメインのゲーム中に呼び出せると便利だったのになぁ と思う点では残念でした。

(そもそもゲームクリアした後は字幕付けれる機能が開放されたりするんだけど)

 

相関詞の問題がない

覚えるとかなり有効だけど、覚えるのが大変な要素として他言語には無い独特な要素「相関詞」を学ぶモードが出てきます。

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これはゲーム上の実装が独特で、組み合わせを学んでいくのによく出来ているので、触りながら自分で板書(ノートに筆記)して表を作ったりして自習したのだけど、学習を終了した後にテストがなくて ちょっと寂しかったです……

まぁ、さらっと遊びたい人には 難度が高すぎるのかもしれないけど、そこは出題側で表の一部を表示しておくとか難度調整は可能だと思うので、ちょっと勿体なかった。

 

 

おわりに

そんなこんなで『ことのはアムリラート』と『ユリアーモ』のお話でした。

ちなみに アムリラートは amo と rilato を組み合わせた造語なんだけど、辞書が解放されたら、それぞれの意味を調べてみると良いかもしれませんね。

 

今後もうちょっとユリアーモ勉強したいなーっと思ったので、WEB上の資料なんか見ながら復習しつつ、ここの blog に備忘録として残して行こうかなー。

ことのはアムリラート 通常版

ことのはアムリラート 通常版

 

 

 

あ、そういえば上の方で「ゲームとして無理がある」って書いたけど、未知の言語をほぼ手探りで解き明かしていくゲームもあったりします。

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Sethian』って言って、この図形だらけのセチアン語を右側半分のキーボードをクリックして組み立てて、人工知能と会話して 文法を割り出して セチアン人達の歴史を探っていくゲームです。

残念ながら俺は完璧なセチアン語話者になれなかったので、真のエンディングは見れてないんだけど、これもいつか ここで紹介したいなぁ。